「あのママがウリのシメやっとる。噂じゃ、後ろで糸ひいとるのは警官じゃ言うとる」
末野が二人に顔を寄せ小声でいった。
「マジですか。田舎ほど組織とサツカンがツーカーになっとる言うからですねー」私はマグロを食いながら言った。
「ほうですか?ヤッパリ、そんなもんじゃろかのー」
末野は内実は無関心のようだ。
「根源そのものと言うこともあるんじゃなかか?」義行が揶揄した。
「ま、どうでもいいじゃろ、そげなこたあ。要するに、いい女を途切れなく配給してくれればそれでいいんじゃ。誰が元締めかなんぞ関係なしんコ」末野が吐き捨てた。
「そりゃ、そうじゃのう。ワシャ、知らんてか」
義行はコップに日本酒を並々と注ぐ。この男はどれだけ飲めば気が済むのだろうか。私はあきれてその光景を眺めていた。
「唐揚げ、1個、チョウダイ」
私がボーッとしていると、義行が最後の唐揚げをその目の前からかっさらっていった。クソーッ、私が最後に食べようと残しておいたヤツだった。マヨネーズもタップリかけてある。
私はムカッときたが後の祭りだった。義行は笑いながらぐちゃぐちゃとかみ砕いている。私は湧いた憎しみを抑えながらグラスを傾けるしかなかった。明日、崖から突き落としたろか。
「さあ、行くべか。あんまり遅うなっても行かん」末野が立ち上がった。
「メグちゃん、案内お願い。部屋、間違わないでね」ママが言う。
「社長さん、段取りは着いてますからご心配なく」
「うむ」と末野の返事。いかにも偉そうである。
メグと呼ばれた若い子は、ママにメモを渡されて指示を受けている。やがて、われわれ3人はメグを先頭に「良恵」を出た。
「メグちゃん、だいぶ成長したんじゃないの?」
外へ出るなり、義行が先頭のメグミに言う。「ついこないだまで、中学生みたいだったが・・・」
「それって、太ったってことですよね」メグミがお愛想で答える。長い髪を後ろでまとめた化粧気のないスラッと細いコでいかにも真面目そうに見える。
「まあな、イロイロと肉がついてきておる」末野が返した。
「それって、一発やらせろって意味だからノー」義行が割って入った。あれだけ飲んでも歩みはしっかりしている。
「考えときます」メグミはキッパリ言った。やる気満々の雰囲気である。そんなこんなで言い合いをしているうちに目的地についたらしい。なんの変哲もないコテージに見える。スライドドアを開けると、三和土に靴やサンダルが脱ぎ散らかしてある。どうやら、女物が多い。小さな下駄箱も備え付けられているが、到底入りきらないのであろう。真っ直ぐに続く廊下にも雑多なものが
放り出してあって、お世辞にも整頓されているとは言えない状況である。番号札の張り付いた部屋が両側にいくつか並んでいた。
続く
